中古Androidスマホの販売が好調、ユーザーは何を求めているのか
2023年7月の中古スマホ販売台数でAndroid端末が前年同月比1.27倍と、好調ぶりが目立っている。この結果は、株式会社ニューズドテックが自社のインターネット通販「みんなのすまほ」(楽天市場、Yahoo!ショッピング、amazon)における販売を集計したものだ。
この結果についてニューズドテック事業本部EC事業部の松崎剛士は、「当社で取り扱うAndroid端末は1万円を切る価格のラインナップが多く、高額端末への買い控えで安い中古スマホが注目されているのではないか」と分析する。急激な物価上昇が続いているなかで、消費者の節約志向は高まっている。1万円を切る中古スマホの販売台数が伸びているのは、その影響が大きいというわけだ。
中古Android販売数1位は「Xperia XZ2」(ドコモ)
ちなみに、中古Android端末における販売台数でトップは、「Xperia XZ2」(ドコモ)だった。Xperiaシリーズがトップとなるのは初めてのことで、これまではAQUOSシリーズかGalaxyシリーズが占めていた。
なぜ、Xperiaがトップに躍り出たのか。価格が安いかといえば、むしろ逆で、Xperiaは他の中古Android端末に比べれば高い。
今回トップとなった「Xperia XZ2」は、「みんなのすまほ」での平均価格は9500円である。これに対して、2位となった「AQUOS sense3」は8000円で、前月1位で今回は5位となった「Galaxy A21」は9000円である。
ただ低価格だけを追い求めるのなら、Xperiaがトップになるのは理屈に合わない。そこには、低価格に抑えたいけれども「それなりの高機能も欲しい」という消費者心理があるのではないだろうか。そこに応える端末が、「Xperia XZ2」だったと考えられる。
中古iPhone販売数1位は「iPhone8 64GB」に返り咲き
消費者の節約志向が顕著になっていることは、中古iPhoneの売上ランキングにも表れている。前月、前々月は2位の座にあった「iPhone8 64GB」が返り咲いたのだ。
iPhone8は最新OSのアップデート対象から外れたことから、「みんなのすまほ」でも平均価格が2ヶ月連続で1000円ずつ下がっている。これが、トップに返り咲いた理由ではないだろうか。iPhoneユーザーでも、コストパフォーマンスに無関心ではない、ということだろうか。
ただし、前述のように、最新OSのアップデート対象からは外れてしまった。それを多くのユーザーは、デメリットとして受け取るはずである。価格が下がったことだけをトップ返り咲きの理由にするのは、ちょっと納得がいかない。
「最新OSのアップデート対象から外れたことで、iPhone8を手放すユーザーが増えていることは間違いないと思います」と、EC事業部の松崎も指摘する。手放すユーザーが増えて中古市場に多く出まわってきていることも、価格を下げている要因のひとつではある。
しかし、アップデート対象から外れたことで魅力がなくなってしまうのなら、中古iPhone8の価格は、もっと下がってもいいはずである。しかし、2ヶ月で1000円ずつでしかない。しかも、中古iPhoneの販売台数でトップに返り咲いたのだ。
その理由を松崎は、「アップデートの対象外となっても、しっかり売れ続けるというのがiPhone8シリーズの凄いところといえます。アップデートしないままでも満足できる機能だということです」と説明する。そこが、根強いiPhone人気の秘密なのかもしれない。
物価高騰のなか、ますます中古スマホは注目されつつある。そうしたなかで、価格と機能にユーザーはシビアに反応する傾向も強まりそうだ。