【導入事例】高品質な中古スマホを採用―監督行政が土砂運搬の状況を監視するためのトレーサビリティシステム
監督行政では昨今、土砂運搬の状況を監視するためにトレーサビリティの必要性が高まっています。ニューズドテックは、そのトレーサビリティを実現したシステム「STRACE®SYSTEM」を開発する一般財団法人 先端建設技術センター(ACTEC)と提携し、品質の良い新古品スマホを安定供給します。
日本国内では年間約20万件の建設工事が行われている(令和元年ベース)。その多くは建設工事の現場に土砂を搬出入することを伴うものである。
令和3年に発生した熱海市の土石流災害をきっかけにした盛土の総点検において、必要な災害防止措置が確認できない、許可・届出等の手続きが取られていない、廃棄物の投棄等が確認された等不適切な盛土が全国で約1100箇所確認されている。災害防止の責務を担う地方自治体にとって、また建設工事の発注行政や民間の発注者にとって、不適正な盛土の原因となる土砂の不適正な搬入を監視する必要がある。
この監視するためのシステムが「SSTRACE®SYSTEM」(エスエストレース®システム)で、開発したのは「一般財団法人 先端建設技術センター」(ACTEC)である。今年2月、このシステムに使用される専用の記録端末の供給で、中古携帯スマホの買取販売を主事業とする株式会社ニューズドテックはACTECと提携を発表した。
土砂の不法投棄による災害発生を防止する
建設現場において、土砂運搬を担う事業者は下請の立場にある。この事業者は元請から土砂の「運搬費」と「処分費」を受領して、土砂運搬を行うことが通例であるが、正規な搬出先の手前で不法投棄をした場合に「処分費」を手元に入れることが出来て、「運搬費」も節約できる。
このような不法投棄を防ぐためにも、「STRACE®SYSTEM」が効果を発揮することになる。このシステム開発で中心的な役割を果たしてきた、ACTEC企画部主任研究員の近藤一寿さんが次のように説明する。
「ダンプ運転手が搬出現場の出口でICカードを専用の記録端末にかざすことで搬出の日時・位置・車両・土砂の情報が記録されます。そして搬入現場に着いたときにもICカードをかざすことで、再び記録が行われます。正規の搬出位置や搬入位置でない場合は記録されないので、紙による記録と比べて、改ざんする余地のない、信頼性のある記録となります。」
自治体の働き方改革にもつながる
このシステムを導入することで最もメリットを得られるのが自治体である。不法投棄を取り締まるのは自治体の役目であり、その防止のために自治体の職員が日々監視を行っている。
とはいえ、担う責任に比べて自治体の職員数は常に不足気味である。現状では建設会社から提出される紙資料に目を通すしかないが、それが真実であることを見抜くのは容易ではない。
しかし「STRACE®SYSTEM」が導入されていれば、スマホとICカードのタッチで記録された運搬データになるので、データ改ざんの余地が限りなく少なくなる。しかも「STRACE®SYSTEM」の閲覧共有機能を使えば、システムによる土砂運搬の常時監視ができることになり、これが建設工事に係る事業者すべてへの抑止力となり、自治体職員の負担が軽減されることになる。 自治体にしてみれば働き方改革も同時に実現できる。まさに、一石二鳥のシステムといえる。導入しない手はない。
なぜ中古スマホなのか
この「STRACE®SYSTEM」の記録端末として、ニューズドテックは同社が扱う中古スマホ(新古品も含む)を供給する。前述したように、ダンプ運転手が持つのはICカードであって、スマホではない。 「建設現場の作業には複数のダンプ運転手がかかわるし、毎日、同じ運転手が来るわけではなくて、かなり入れ替わりが激しいのが現状です。運転手が代わるたびにスマホ操作を教えるだけでも手間と時間がかかってしまいます。ICカードなら、『これを出たときと着いたときに記録端末にかざして』と伝えるだけなので簡単だし、運転手も楽です」と、近藤さん。
それだけに重要になるのが、記録端末となるスマホの存在である。記録端末が壊れてしまえば、現場全体のシステムがストップしてしまうことになるからだ。それなら新品のほうが安心できるのではとも思えるが、あえて中古スマホを選んだ理由を近藤さんが説明する。
「いまのスマホは多機能になっていますが、システムに必要な機能は限られています。多機能になっている分だけ最新機種は高額になっていますから、コスト削減の意味でも中古スマホを選択しました。中古でも、ニューズドテックの扱っているスマホは点検がきちんとされているので安心です」
システムに必要な条件は、Android端末であること、おサイフケータイ(NFC)にMDM(モバイルデバイス管理)化の汎用性を備えていることである。その条件に合う中古スマホとして、ニューズドテックが提案したのはシャープ製の「AQUOS sense3」だった。 「シャープと当社とは直接契約をしており、安定的に端末を調達することができるので、これから「STRACE ®SYSTEM」の普及が進んでも供給量が増えても対応できます。AQUOS sense3が永遠に調達できるわけではないので、他機種に変える時期がくると思いますが、その場合でもシャープ製で対応させていただく予定です」というのは、ニューズドテック2B事業本部営業部の竹中美里さんだ。
ニューズドテックだけが示した保証
ACTECがニューズドテックとの提携を決めたのは、さらに理由がある。近藤さんが続けた。
「記録端末としてのスマホは、係員が持っているわけではありません。搬出搬入先の出入り口に、端末だけが置かれています。1日中ONの状態という過酷な使い方なので、それだけ故障の可能性も高くなります。当然、バッテリーの劣化も早くなります。しかしニューズドテックでは独自の故障予測診断アプリ『スマホカルテ』をプレインストールしてもらってあるので故障も早期発見できて、すぐ交換してもらえます。バッテリー劣化まで保証してもらえるので安心です。他社も検討したのですが、保証を提示されたのはニューズドテックだけで、そこが提携を決めた大きな理由でした」
さらに、ニューズドテックでは「STRACE®SYSTEM」をプレインストールした端末を在庫で用意している。発注があれば、すぐに対応できる体制が整えられているのだ。
「ニューズドテック以外だと、発注してからインストール作業に2週間は必要だといわれました。建設工事は受注してすぐに土砂を運び出す作業が始まるので、2週間というタイムラグは、かなりの損失になります」と、近藤さん。
さらにニューズドテックでは、ソフトのインストールだけでなく、端末を出入り口に据え付けるためのスタンドも付けた状態で納入する。現場で設置を迷うことはなく、負担は軽くなる。ユーザーの便宜を徹底して優先する姿勢を、ACTECが認めたことになる。
「ACTECは、建設リサイクルの調査・研究を行っています。その意味では、スマホのリサイクルを手掛けているニューズドテックとは企業理念でも一致しています」と、近藤さん。 今年5月には盛土規制法や資源有効利用促進法の改正省令が施行されるなど、土砂運搬に関する規制が厳しくなる。そうしたなかで「STRACE®SYSTEM」は土砂運搬の監視ツールとして、主に自治体から大きな注目を集め、厳格な法規制の施行に併せて導入が進むと予想されている。今回、高品質なスマホを採用したことで、システムを利用する現場にとって、故障が少なく、新品よりも廉価な端末とすることが出来た。
「SSTRACE®SYSTEM(エスエストレース®システム)」:
https://www.actec.or.jp/ss-trace_system/
「STRACE®SYSTEM」専用アプリがインストールされたスマホ調達申込みフォーム:
株式会社ニューズドテックのプレスリリース:
https://newsedtech.co.jp/news/actec-business-partnership/