中古端末の安定的な調達を可能とした「全国1,000店舗以上の提携ネットワーク」
6月9日に東京・神田駅にほど近い場所に中古携帯専門店を開店した携帯市場。同社が安定的に中古携帯端末を調達できる要因として、特徴的な事業展開が挙げられる。 他社と同様、自社店舗や自社サイトを活用して中古端末の買取を行っているが、それに加えて中古携帯を取り扱う提携店へのサポートを通じた調達ルートを確立しているのだ。そこで今回は同社のビジネスモデルを取り上げたい。
全国1,000店舗以上の提携ネットワークを構築
同社が中古携帯端末事業に参入したのは2008年1月。他社との差別化をはかるべく携帯電話の知識がないスタッフでも中古端末の取り扱いが可能となるシステムを自社で開発し、事業提携先に対してシステムを提供するとともに、コンサルティングなども行っている。 リサイクル業界にとって、新しい商材を取り扱うことは競合と差別化をはかる有力手段となることから、従来携帯電話を取り扱っていなかったリサイクルショップを中心にシステムを提供することで提携先を拡大していった。 提携の方法として、携帯市場にサポートを依頼する範囲によって3つのプランが提供されている。
中古携帯 買取プラン
「買取プラン」は、提携先事業者は中古端末の買取のみを行い、買い取った端末をすべて携帯市場に買い上げてもらう方式。
中古携帯 販売プラン
「販売プラン」は、提携先事業者が中古端末の買取を行い、クリーニングやデータ消去などのバックオフィス業務を携帯市場に依頼、再製品化された端末は提携先事業者が自ら販売を行う方式。
「現在、提携事業者は1,000店舗を突破しているが、そのうち約8割が『買取プラン』を選択している」(同社代表取締役 粟津 浜一氏)という。つまり、それら店舗が買い取った端末は携帯市場が全量買い上げることとなり、このネットワークによって全国から中古端末を安定的に調達しているのだ。調達した端末は、通販サイトや店舗を通じて販売を行っている。 提携事業者の中には、独自にネット販売を行おうと考えているケースもあるが、同社ではあまりお勧めしていないという。これは、独自にサイトを立ち上げるにせよ、ネットショッピングサイトに出品するにせよ、コストや労力をかけた割に売上に結びつかないからで、ネット販売を希望する場合は携帯市場のサイト内で委託販売することを勧めている。
中古端末を軸にした新展開も検討
現在同社では、中古端末購入時にインターネット回線を申し込んだ場合、最大1万5000円のキャッシュバックを行うキャンペーンを展開している。音声通話が可能な格安SIMと中古フィーチャーフォンのセット販売など、新たな取り組みも絶えず検討を行っているという。 中古端末市場は2016年度に現在の約2倍の規模に拡大するとみられ、急成長を追い風とした同社の今後の新展開にも期待したい。