スマホレンタル、法人向け・業務用拡大に期待
モノからコトへ。そういわれて久しい
これは、消費スタイルの変化を表しているわけだが、2年以上に及んだコロナ禍でそうした“傾向”がますます強まっている。その代表的な“現れ”のひとつに、中古市場やレンタル市場の拡大がある。
例えば、コロナ禍で注目されたキャンプはテントや調理器具などさまざまな道具を要するが、それらの中古品を扱う専門店などが相次いで創業したり、店舗を拡大する動きもある。
カメラなんかもそうだ。今やカメラはスマートフォン(スマホ)に搭載されていることから専用機市場は大きく縮小したが、一眼レフをはじめとする高機能品の分野は比較的堅調だ。この分野は昔から中古市場が存在してきたが、近年はレンタル市場も形成されつつある。専門のレンタルサービス会社に加え、ビックカメラのような大手量販店もレンタルサービスに乗り出している。
写真撮影が趣味だという人はともかく、年に数回、たとえば子供の運動会の時にしか使わないなら、数十万円にもおよぶ一眼レフカメラを購入するより、数千円でレンタルして“利用”したほうが経済的だ。
中古スマホ市場は好調を維持
これらの動きは、“所有”から“利用”へのシフトともいえる。“利用”という目的が明確なほど、こうした傾向は強まっていく。
スマホに関しては中古市場が拡大している。ニューズドテックは販売台数ベースでも過去最高の更新が続いており、2022年5月は昨年に比べて160%に上るという。背景には、新品価格の高騰などがある。要は新品スマホが高いということだ。
【プレスリリース】2022年5月の中古iPhone販売1位はiPhone7 32GB
それでもないと困るのがスマホ。コロナ禍で対面によるコミュニケーションが激減。スマホがないとワクチン接種の予約もスムーズにできない時代になっている。そんなこともあり、最近はスマホを2台持つ人も多い。その2台目については端末をできるだけ安価に抑えたいというニーズが大きく、中古端末を利用するケースが多いとみられている。
中古スマホ市場は、そうした消費者の意向を追い風に成長してきた。
コロナ禍で増えたスマホレンタル
そんな中で、スマホのレンタルというジャンルも注目され始めている。それこそ“利用”に特化したサービスだ。ターゲットとなるのは法人だという。
公私混同はいけないので、社員に仕事用のスマホを貸与する企業は多い。そういうスマホはそれこそ“機能すればよし”ということで、業務上使わない機能は要らないし、新品である必要もない。一定期間使う、といった場合はまさに“これ一択”ともいえるサービスだ。
実際に、テレワークの拡大に伴いモバイルデバイス管理(MDM)のもとでスマホを貸与するケースは増大したが、それらの端末にレンタル機が活用され始めている。飲食店のタブレット端末やモバイルオーダー用の端末、PCR検査用の端末などにもレンタル機が使われ始めている。
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イベントと相性が良いスマホレンタル、タブレットレンタル
コロナ禍に伴う制限が解除され、今後は正常化に向かって経済活動が本格再開するとみられるが、そこで久しぶりに増加するとみられるのがイベント需要だ。その都度集められた会場整理や運営のスタッフのためにスマホを買い入れる、というのはあまり現実的ではない。かといって、ないのも困る。こうした分野はまさにレンタル向けの市場といえるだろう。そうした市場が、コロナ禍後には急拡大していくことになる。
スマートフォンの中古販売事業やレンタル事業を手掛けるニューズドテック セールス本部 セールス部部長の粟津裕吉は「業務用として使用する場合、現行の新品のような高機能が求められることはまれだ。法人の側も、資産として計上されず、経費で利用できるレンタルのほうが都合がいい場合も多い。実際に法人では、自動車やパソコンにはじまり家具やデスクなど多くの資材がリースやレンタルで利用されている。スマホレンタルはまだサービスとしては黎明期だが、法人でのスマホの利用スタイルや資材に対する考え方を見る限り、今後大きく広がる可能性を秘めた分野だろう」との見方を示す。
円安の影響を受けiPhone、iPadが高額になる
特にiPhoneは輸入に依存している。米国の歴史的なインフレと国内のドル高円安により、高額ゆえにスマホの買い替えが鈍り、スマホを長く使おうとする消費マインドが例年以上に産まれてくるだろう。これは個人に限った話ではない、法人もだ。法人としての需要が満たし品質を担保されたスマホであれば、レンタルを検討する企業が今後増えてくるのではと期待が高まっている。