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【携帯市場コラム】売れない高額スマホ、中古スマホの未来とは。

Date 2022/03/27
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ニューズドテックでは、有識者によるコラム、業界人を対象とした取材記事を定期的に配信する「ニューズドマガジン」を開始しました。導入を検討している企業・法人向けに、これまでに導入した法人事例、導入事例なども配信します。

中古スマホを検品するスタッフ

 5G(第5世代移動通信システム)の本格的な商用サービスがスタートしてもうすぐ2年になる。東京五輪に間に合わせる形で準備が進められた5Gは、新型コロナウイルス禍で五輪が延期になる中でも概ねスケジュール通りに端末もそろい、サービスも始まっている。

出遅れた5G、巻き返しを図る

 もっとも、この2年間の話題はもっぱら新型コロナウイルス関連であり、事業者が当初目論んだような盛り上がりには欠けているようには思う。
 大手キャリアは今後、人口カバー率の向上に向け通信設備の整備を進める。現行の主力である4Gと並行して展開することになるため、使用する電波など“資源”の割り振りに課題は残るものの、今後普及は確実に進んでいくことになるだろう。
 ただ、5Gのメリットを活かす利用法という意味では、スマホなどで利用する一般消費者にとってはいまのところあまりよくわからない。YouTubeやInstagramなどの動画視聴は4Gでも不自由はないし、5Gじゃないと堪能できないコンテンツは少ないからだ。
 半面で、産業用としては期待が大きい。鉄道の保線や自動運転、建設現場のリモート監督などではすでに実用化に向けた準備も始まっている。例えば建設現場。コンクリートで基礎を作ったときや柱を施工した時など、節目節目で人による確認が求められる。これまではそのために、管理や検査をする人員が現場に出向く必要があった。しかし、5Gでこれが変わろうとしている。
 現実の世界にあるモノから収集したさまざまなデータをデジタル上にコピーして再現する「デジタルツイン」という技術がある。完成予想図と設計図を統合させたようなこの技術を使うと、完成後の姿を写真のように再現でき、しかもさまざまな向きから見ることができる。

製造業で期待される5G

 製造業の場合、この技術を使うのはどこかの開発拠点などに限定される。データを取り込むのも活用するのも特定の場所であることが多い。その点、建設業界では現場が開発拠点内にあるわけではないため、データのある場所と現場には距離がある。5Gはこの距離を埋める。
 デジタルツインのデータは膨大だが、光ファイバーなどがない建設現場などでも5Gだとストレスなくやり取りが可能だ。加えて、高精細画像を活用することで、監督者が事あるごとにわざわざ現場に行かなくても済むケースを増やすことが可能になるというわけだ。
 鉄道や自動車などの自動運転などにも有効だ。人に代わって前方や周囲を映し出す高精細カメラを設置すれば、遠隔地から目視で確認できることも多くなる。と同時に、5Gにはもう一つの大きな特徴である「低遅延」のメリットも大きい。自動運転などの場合、異常発生時などに遅延なく停止などの指示が出せるからだ。
 そんなこともあり、商用サービス以上に、工場内や特定のエリア内で使うローカル5Gというものの普及が期待されている。これは、4Gまでにはなかった傾向といえるかもしれない。

では、われわれ消費者が利用する商用のサービスはどうか。

 産業用途に比べると、明確なメリットは出にくい。ダイヤルアップでパソコンをインターネットなどに接続していた時代のように、高速大容量化を実感する機会がないということもある。庶民が求めているのは、そうした高品位な回線よりも、料金だという説もある。
 幸い、5Gの料金は4Gとあまりかわらない。が、端末は高価だ。まだ中古スマホも低価格機も少なく、4Gが登場したときのようなSIMロックと引き換えのキャリアによる補助もない。
 5Gへの移行は端末の普及とネットワークの拡大で実現するものだが、コロナ禍に伴う半導体不足などもあり、世界市場では伸び悩んでいる。新品の出荷が増えないと数年後の中古スマホ市場も増えない。

一次スマホ市場(新品)と中古スマホ市場の関係

半導体不足は今年の夏以降大きく正常化に向かうとみられている。そういう意味では、夏以降が普及の本番となる。ちなみに、民間の調査会社、MM総研の調査によれば、2021年のスマートフォン出荷は3374.4万台(12.2%増)で2007年以降の暦年出荷台数としては2017年(3199.4万台)を上回り最多となっている。このうちの58.1%が5G対応機種だ。国内市場は比較的順調に供給されたということだろう。
 今後の本格普及には、リーズナブルな機種の登場や中古スマホの充実なども欠かせない。中古スマホに限ればアップルのiPhoneシリーズが主力商材となっているが、近年の機種は販売が低調だったこともあり、いまでもiPhone7や同8が中心になっているという。これはある意味ではこれまでにない異常な傾向らしい。
 コロナ禍後は世界市場で供給が十分になされなかったことなども考えると、今後の中古スマホ市場にはさらに特殊な動きが出るかもしれない。物量の多いiPhone7、同8などは5G端末ではないが、同12などの5G端末は同7や同8のような売れ方はしていない。
 コロナ禍とそれに伴う半導体不足、そうした中での世代交代…。今後はコロナ禍からの復興が本格化するが、一方でロシアによるウクライナ侵攻などが原油高に拍車をかけるなど、景気面での不透明感も強まっている。
 いまや生活に欠かせない重要なインフラと化したスマートフォンだが、その動向は過去にないほど読みにくいものとなっている。

ニューズドテックでは中古スマホ市場に纏わるコラムを毎月2本掲載しています。

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この記事を書いた人

新品市場と中古市場のバランスに面白みを感じてこれまで15年以上も中古市場に関わるものの、唯一スマホ業界だけが中古の成長に遅れを感じている。ニューズドテックが掲げるミッション「1.5市場の未来を拓く」に魅せられて、スマホ業界、敷いてはデバイス業界を盛り上げたいと思いニューズドテックにジョインした中古スマホ業界を俯瞰的にみる人物の一人。